有料メールアドレス?メールサーバを借りるという選択肢

 Gmailじゃちょっとなあ・・・

今や個人のメールアドレスといえばGmailがスタンダードですが、Gmailのアドレスを新規に取ろうとしても、長ったらしくて覚えづらいものしか取れない、仕事関係でたまに使うがGmailだとフリーメール丸出しで格好がつかないなど、Gmail以外のメールアドレスが欲しくなることがあります。

その場合普通はGmail以外のフリーのメールアドレスか、携帯キャリアメール、有料メールアドレスなどを検討しますが、昔と違っていまではwebページでちょっとした操作をするだけで簡単に自前のメールサーバを立てられるので、あれこれすっ飛ばして一気に最上位の自由度が得られる自前メールサーバを立ててみては?というお話です。

 自前でメールサーバを立てるメリットとデメリット

[email protected] (ユーザー名@ドメイン名)
メールアドレスというのは基本的に「ユーザー名@ドメイン名」という形式ですが、これを自分でぜんぶ自由に決められるのが自前メールサーバのメリットです。
以前ならメールサーバを立てるとなるとかなりの知識が必要でしたが、いまはあらかじめセットアップされたサーバを契約するだけで簡単操作ですぐ使えるものがあり、ブログなどを利用するのとたいして変わらなくなりました。
アカウントも作り放題、一旦設定してしまえば突然仕様が変わって使えなくなるなんてこともありません。

デメリットとしては、月額利用料がかかること、トラブルが発生した場合に内容によってはサーバ関連の知識がないと自力で解決するのが難しいということがあります。

 メールサーバを立てるには、ドメイン+レンタルサーバを契約する

ドメイン名の契約は.com .net .jpなど種類によっても料金が変わりますが、.comであれば契約時に800円程度、更新(年単位)時に2000円程度が相場です。
レンタルサーバは、一般的に個人で借りる安いものであれば、ネット上のコンピューターの一部スペースを間借りする形になります。(VPSと言います)
料金はピンキリで、安いものだと月額300円程度からありますが、一般的には1000円以下の安いVPSはメモリやディスクスペースの割当てが少なく性能がよくないので推奨されないとされています。

しかしながら、フリーメール代わりのメールサーバにそんな金をかけたくないので、ドメイン更新料+レンタルサーバ代金の合計で月額390円~、性能も破格(サポートは期待薄)のCORESERVER V2をここでは推奨し、詳しく説明していきたいと思います。

 CORESERVER v2
※現在CORESERVER V2からGmail宛にメールを送ると、迷惑メールに振り分けられる事象が発生しています。受信者側で一度迷惑メールフォルダを開いて「「迷惑メールではないことを報告」ボタンを押せば、以降は通常の受信フォルダに振り分けられますが、数多くのGmalユーザーと頻繁にやりとりするのであれば、別のVPSを探したほうが無難でしょう。

CORESERVER V2のホームページはこちら

一番安いCORE-Xの月額料金が、1ヶ月契約で690円、12ヶ月契約で月あたり528円、24ヶ月で@473円、36ヶ月で@390円です。
この値段でメモリ6GB、ディスク500GBの割当はかなり破格です。
(他社ワンコインだとメモリ512MB、ディスク20GB程度がほとんど)
また、コアサーバーV2アカウントとドメインを同時に契約した場合、トライアル期間中に12ヶ月以上の本契約をすればドメイン取得費用・更新費用が無料になります。
導入テストが終わったら是非トライアル期間中に12ヶ月以上の契約で申し込みましょう。

それではCORESERVER V2の導入からメールサーバの設定までを見ていきます。

1.CORESERVER V2のトライアル(1ヶ月)を申し込む
 CORE-Xの下の「30日間無料ではじめる」をクリック

CORE-Xが選択されていることを確認
サーバアカウント名に適当な名前を入力(管理ユーザー名、のちにサーバ管理画面のログインIDになります)

下にスクロールして、ドメイン名を取得します。
すでに利用されているドメイン名は取得できません。
この中でも.jpドメインは、利用者が比較的少なくて空きドメイン名が多い上に覚えやすく、スパムメールに利用される頻度も少ないのでオススメです。
但し更新料が年額4000円弱と高いので、将来的に他のサーバに移る場合は注意が必要です。(.jpドメインの更新料が無料の格安レンタルサーバは少ない)

次へ進むとユーザー情報の入力画面になります。
「ユーザー登録」を選択して、必要事項を入力していきます。
この入力情報はValue Domain(CORESERVERと同じGMOの関連会社)で新規作成するアカウント情報になります。

最後に支払い情報を入力して申し込みを完了させます。

2.Value Domainの管理情報

申し込み完了後に自動的にValue Domainのページに移行します。
下にスクロールして管理情報から、コアサーバー(1)をクリックします。

新規取得したサーバのアカウント情報が表示されるので、「新コントロールパネル」をクリックします。

3.CORESERVER V2にログイン

CORESERVERのコンソール画面です。
基本的にこのwebコンソールからすべてのサーバ設定を行います。
時間が経つとタイムアウトしてログイン画面に遷移し、ID/PASSの入力が必要となるので、まず最初に管理者のID/PASSを確認しておきます。(メモし忘れてもValueDomainから入ることができます)

右上のサーバー名の記載をクリックするとプルダウンメニューが表示されるので、契約情報を選択します。
下にスクロールするとサーバアカウント情報の記載があり、その中のアカウントとパスワードがこのコンソール画面のログインID/PASSになります。
サーバー名の「v2010.coreserver.jp」のv2010の部分(契約アカウントにより異なる)もログイン時に必要なので覚えておく必要があります。

4.メールサーバ設定

いよいよ本題のメールサーバの設定をおこなっていきます。
左側メニューから「メール」をクリックすると、メールアカウント設定画面が表示されるので、右上「ドメイン」のプルダウンメニューから申込時に作成したドメインを選択し、「アカウントを作成」をクリックします。

画面が切り替わったら追加したいユーザーのユーザー名とパスワードを入力します。
パスワードは8文字以上の英数字の組み合わせで、大文字・小文字・数字のすべてを含む必要があります。
パスワードが悪意のある第三者に漏洩するとスパムメール送信に利用される可能性があるので、複雑で推測されにくいものを設定するように心がけてください。
また、一番下に「送信数を制限」という欄がありますが、パスワードが漏洩して第三者から大量のメール送信に利用される場合に備え、無制限のチェックを外して200程度の値を入力しておくとより安心です。

設定を終えて「アカウントを作成」をクリックすると、作成されたアカウントの確認ダイアログが表示され、メール受信ソフト設定時の設定例が表示されます。
この内容通りに設定する必要はないので、Username/Passwordだけ確認して「閉じる」を押せばOKです。

Eメールアカウントの一覧に、さきほど追加したメールアドレスが追加されました。
この要領で作成していけば個数制限なくメールアドレスを追加できます。
なお、一番上にデフォルトで管理ユーザーのメールアドレスが既存として存在しますが、Username/Passwordは管理ログインのID/Passと同じです。

最後にSSLの設定を有効にします。
左側メニューから「ドメイン」>「SSL証明書設定」と順にクリックします。
表示されたSSL証明書の画面で、右上「ドメイン」のプルダウンメニューから、さきほどメールアドレスを追加したドメイン名を選択し、下の「SSLを有効」をクリックします。

SSL証明書の鍵が生成され、SSLが有効になりました。
これで設定は完了です。

 動作確認

CORESERVERにはウェブメールが用意されているのでそれを使います。
左側メニューから「メール」>「ウェブメール」とたどり、「RoundCubeログインページ」をクリックします。

ウェブメールのログイン画面でユーザー名(メールアドレス)とパスワードを入力し、ログインします。

webメールの画面です、最初なのでまだ何もありません。
この画面からスマホのメールなどにメールの送受信テストを行ってみてください。
※Gmailなどでは迷惑メールに分類されることがあるので、送信したメールが迷惑メールフォルダに入っていないか確認してみてください。

各種メールソフトでメールの送受信をする場合は、次のように設定します。
(例:メールアドレスが[email protected] パスワードがHoge9988の場合)

メールアドレス [email protected]
 ユーザー名 [email protected]
パスワード Hoge9988
POP/IMAPサーバ hogege.jp
SMTPサーバ hogege.jp
SMTPポート番号 465
POPポート番号 995
IMAPポート番号 993
SMTP認証 はい
送信/受信にSSLを使う はい

 迷惑メール判定されにくくするために

ここまでの設定でメールの送受信はできているので面倒であれば読み飛ばしてもらってもかまいませんが、最初のほうで記載したGmailで迷惑メール判定される問題が今後改善されるかもという期待も込めて、追加のセキュリティ設定について紹介します。

去年Googleから新しい「メール送信者のガイドライン」が発表されました。

  • 2024年2月以降、SPF/DKIMによるメール認証をしていないメールは、Gmailアカウントへメールが届かなくなる可能性がある
  • Gmailアカウントへ1日5,000件以上メールを送信する企業は、SPF/DKIM/DMARCの3つへ対応していない場合、Gmailアカウントへメールが届かなくなる可能性がある

SPF/DKIM/DMARCという単語が目を引きます。
それぞれの単語の中身について触れる前に、迷惑メールがどうやって送られてくるのか簡単に説明します。

迷惑メールは、銀行や大手通販サイトから送られてきたメールになりすまし、偽のログインページにアクセスさせてログインIDとパスワードを入力させて盗み出すような類のものを指しますが、迷惑メールの送り手は、通常発信元がわからないようにするために「踏み台サーバ」経由でメールを送信します。
踏み台サーバとは、インターネット上に存在するセキュリティ管理が甘く、どんなメールでも転送してしまうようなサーバが悪用され、不正に利用されます。
Googleのような事業者は、このような踏み台サーバから送られてきたメールはその中身に関係なく迷惑メールと判断し、ブロックしたり迷惑メールフォルダに振り分けることで対応しています。
SPF/DKIMとは、メールの送信元サーバが、そのドメインの正規のサーバであることを認証するために使われる技術で、DMARCとはその認証がうまくいかなかったときにどうするかのアクションを示すものになります。
(具体的な要素技術については割愛しますが、気になる方はyoutubeにたくさん動画が上がっているのでそちらでご確認ください。)

 SPF/DKIM/DMARCの設定

それでは具体的な設定内容について入っていきます。
SPFについてはデフォルトで設定されていますので、DKIMの設定から行っていきます。

左側メニュー「メール」を選択後、メールアカウント設定画面でメール用ドメインを選び、その下の「DKIMを有効」をクリックします。

次に左側メニューから「DKIM管理」をクリック、右上プルダウンでさきほどのドメインを指定すると、DKIM公開鍵が生成され表示されているので、値の部分をすべてコピーします。

次にValue Domainに移動(ここ)してログインします。
ページ中程のドメインから「ドメインの設定操作(登録済みドメイン一覧)をクリックします。

次ページ「変更できるドメイン」に登録サーバ名が表示されているので、メニューから「DNS/URL」をクリック

DNS設定を変更します。
すでに上4行が自動的に設定されているので、その下に以下2行を追記します。
txt x._domainkey v=DKIM1; k=rsa; p=・・・(赤字部分にさきほどコピーしたDKIM公開鍵を貼り付けます ※前後の"”は取り除きます)
txt _dmarc v=DMARC1; p=none; (このまま貼り付けます)

入力が終わったら、下のほうまでスクロールし、「保存」をクリックします。

 確認テスト

設定が終わったら確認テストを行います。
確認はGmailのメールアドレスを使います。
(Yahooメールでも同様の確認テストが可能です。詳細はこちら

まずはGmailにメールを送信し、届いたメールを表示させます。(受信トレイになければ迷惑メールフォルダを確認)
右上三点リーダーをクリックし、表示されたメニューの中から「メッセージのソースを表示」を選択します

メールのソース内のSPF/DKIM/DMARCのそれぞれが”PASS”と表示されていれば合格です。

これらすべての設定を行ってもなお、Gmailでは迷惑メール扱いになるのですが、こちらとしては設定としてやれることはすべてやっているので、あとはGmail側の対応を待つしかありません。

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